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渋野日向子

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聖地で「幸せをかみしめたい」

Hinako Shibuno smiling on the course
2019年AIG全英女子オープンの覇者の写真は、セントアンドリュース・オールドコースのいたるところで見ることができる。

5年前、当時わずか20歳の渋野日向子は、初出場ながらイングランドのウォーバーンゴルフクラブで開催された選手権を制し、「スマイリング・シンデレラ」と命名されるなど、一躍時の人となった。あれから長い年月が流れたが、その人気の高さは今も健在だ。

R&Aのクラブハウスのすぐ裏手にある世界ゴルフ博物館にも優勝時の写真が飾られている。それを見た渋野本人も「すごいなあと思いました」と目を丸くした。

渋野は、ゴルフの聖地で行われる今大会を「何年も前から楽しみにやってきた」という。「セントアンドリュースのオールドコースに来ることは本当になかなかないと思いますし、ここに来られる幸せをかみしめたい」。

憧れのゴルフコースで目指すのは、当然ながら自身2度目の女王の座。しかし頂点までへの道は容易ではない。

前週のスコットランド女子オープンでは左股関節から臀部へかけてを痛めて、初日に途中棄権。コンディションは上がっているものの、「なんとか不安要素はちょっと減っている。痛みもほぼなくなり、あとはそこを気にせずにどれだけ振れるかっていうところかなと思います」。万全の状態とは言い難い。

コースの難易度も非常に高く、大会前日の練習ラウンド後には「めちゃくちゃむずい。もう本当にむずい」と苦笑い。強風や悪天候に見舞われる確率は非常に高く、厳しい戦いを強いられると予想し、「すべての知恵を出し切らなければいけない」と警戒した。

しかし渋野にとっては英国は特別な場所であり、AIG全英女子オープンは彼女がトップ選手に仲間入りした舞台でもある。必然と気合は入ってくる。

「(会場にある)看板を見れば自分と近いもので、(自身がブランドアンバサダーを務める)AIGは大会の冠スポンサー。本当に頑張らないとなとは思います」

怪我の不安は残るものの、現在は「90パーセントくらいまで回復した」。加えて、今シーズン序盤は低調なパフォーマンスが続いたものの、ともに6月に行われた全米女子オープンで2位、全米女子プロゴルフ選手権でも7位に食い込むなど、大舞台での強さは相変わらずだ。

「今年の前半の自分のプレーを振り返ると、ここに来るのはすごい怖かった。でも全米オープンがあったり、全米プロがあったり。その2つでしかないですけど、すごく難しいコースで上に行けたっていうことはすごく、今年の自分のことを考えたらすごく良かったなって思います」

もちろんこれら2つのメジャーとは、天候もコースも、求められるゴルフのスタイルも大きく異なる。それは本人も十分承知している。

リンクスコースの特有の風について「18ホール中、1人(1ホール)でも友達になれればいい」と独特の言い回しで表現したスマイリング・シンデレラ。持ち前の笑顔で風を仲間につけて優勝を目指す。初日のスタート時間は日本時間15時22分だ。